マーケットプレイス型プラットフォームの課金モデル

【2020年3月11日更新】

この記事はSharetribeが運営するMarketplace Academyに掲載された “How to choose the right business model for your marketplace“(著者 : Juho Makkonen)を翻訳のうえ、加筆修正したものです。

シェアリングエコノミーやマッチングサービスといった、マーケットプレイス型プラットフォームを軌道に乗せるには時間がかかります。持続可能で成功するプラットフォームを作り上げるには、運営資金を供給する課金モデルを見つける必要があります。
非営利または趣味のプロジェクトであれば、プラットフォームの開発や運営に必要なコストを寄付や自己資金で賄うこともあるでしょう。しかし、ほとんどのケースにおいては、あなたがサービスを提供するコミュニティ、つまりプラットフォームのユーザーに課金して収益を得る必要があります。
マーケットプレイス型プラットフォームで使用される主な課金モデルは以下の6つです。

  1. 手数料
  2. 会費
  3. リスティング料
  4. リード料
  5. フリーミアム
  6. 有料掲載オプションと広告

マーケットプレイス型プラットフォームが失敗する最も一般的な理由の1つは、「スケールしない課金モデルを採用したために、長期的な持続可能性を確保できない」というものです。この記事では、6つの課金モデルの特徴と、自身のプラットフォームに適した課金モデルの選び方を解説します。

1. 取引手数料

取引毎に出品者から手数料を徴収するモデルです。
手数料の算定方法には

  • 取引金額 x 手数料率を徴収
  • 取引金額に関わらず一定金額を徴収

の2種類があります。
この課金モデルの最大の利点は、出品者は取引が成立するまでは1円も支払う必要がないという点です。

また、プラットフォーム側にとってもこの課金モデルは魅力的です。プラットフォーム上の取引が活発になればなるほど、より多くの手数料を手にすることができるからです。Airbnb、Etsy、eBay、Fiverr、TaskRabbit、Uberなどの有名プラットフォームはすべて、取引手数料をメインの収益源としています。

取引手数料モデルを機能させるには、出品者と購入者の双方に充分な価値を提供する必要があります。
プラットフォームが価値を提供できていないとユーザーが判断した場合、2回目以降は出品者と購入者が直接連絡をとりあって取引する、いわゆる「中抜き」が発生します。中抜きを回避する方法については、別の記事で紹介します。

取引手数料モデルのもう1つの課題は価格設定です。

  • 手数料率はいくらにするか?それとも定額制にするか?
  • すべての出品者に同じ条件を適用するか?
  • 最初は手数料を無料や低額にしておいて、出品者が集まったら値上げするか?

など、様々な要素を考慮しながら手数料を設定する必要があります。手数料設定のポイントについては、別の記事で解説します。

ユーザーとプラットフォーム運営者の双方にメリットがあるため、取引手数料モデルを採用するプラットフォームは今後ますます増えると予想しています。
可能な限り、取引手数料をメインの収益源として使用することをおすすめします。

ただし、以下のようなプラットフォームでは取引手数料は不向きです。他の方法で収益化する必要があります。

  • 1回あたりの取引金額が大きい :
     自動車や不動産の販売では、取引金額 x 手数料率 で算出した手数料が大きくなりすぎるため、出品者から敬遠されるケースがあります。
  • 決済がプラットフォーム上で行われない :
     クラシファイド広告サービスのように、プラットフォーム上では広告や情報の掲載のみを行う場合は、取引手数料を課金できません。
  • 請求プロセスが複雑 :
     売掛金や受取手形など、請求プロセスが複雑な場合にも取引手数料による課金は不向きです。
  • 金銭の授受が発生しない :
     出会い系や採用広告、物々交換や物品の無料シェアなど、取引においてユーザー間での金銭の授受が発生しない場合は、取引手数料を課金できません。

2. 会費

会費(サブスクリプション料金と呼ばれることもあります)は、一部またはすべてのユーザーに対して、プラットフォームを利用するための料金を定期的に課金するモデルです。
この課金モデルは

  • 出品者は新規顧客を開拓できる
  • 利用者はコストを節約したり、ユニークな体験ができる
  • 1ユーザーが複数回取引するような商品・サービスを扱う

という条件を充たすプラットフォームに向いていますが、取引の成立有無に関わらず課金されるため、うまく機能させるのはかなり難しいです。

会費を課金するCtoCプラットフォームの典型的な例は、ホームスワッピングサイト(Love Home Swap、ホームエクスチェンジ)および出会い系サイト(OkCupid、Match.com)です。これらのサイトでは「高い品質の維持」と「メンバーであることの特別感の提供」を理由に入会審査を必須化することで、会費の徴収の正当性を主張するケースが多く見られます。

BtoCの分野では、主にリクルーティング系プラットフォームで会費モデルが採用されています。たとえば、LinkedInとStackOverflow Careersでは、人材へのアクセス権を与えるために企業にサブスクリプション・フィーを請求します。 「スタジオのAirbnb」であるStudiotimeは、会費を主要な課金モデルとしている別の例です。 一般ユーザーには課金せず、企業からのみ会費を徴収することがBtoCプラットフォームでは一般的です。

BtoCプラットフォームにおいて、取引手数料の課金システムを構築できていない場合にも会費モデルは有効です。 「イベントスペースのAirbnb」であるVenuuは、ウェブサイトの立ち上げ前に企業から会費を徴収して売上を獲得することに成功しました。その後、Venuuはビジネスプランを検証し、課金システムを構築するためのリソースを確保した後に、収益性の高い取引手数料モデルに移行しました。

会費モデルの課題は、「鶏と卵問題」(顧客がいない状態で出品者を見つけるのが先か、出品者がいない状態で顧客を見つけるのが先か)を悪化させるということです。出品者と顧客の双方に価値のあるプラットフォームになるには、充分な数のユーザー数を確保する必要があります。取引を行わないユーザーにも課金する会費モデルは、ユーザーがプラットフォームに登録することをためらわせてしまいます。ユーザー数確保のため、開始当初は会費を無料にするか、大幅に引き下げるなどの対策が必要になります。

3. リスティング料

一部のプラットフォームでは、出品者がプラットフォーム上に自身の商品やサービスを掲載する際にリスティング料を徴収します。この課金モデルは、

  • プラットフォームに掲載されている自身の商品・サービスの数が重要
  • 掲載1件あたりの期待利益が高い

場合に有効です。

リスティング料は、クラシファイド広告サイト(数行程度の簡素な広告を、内容ごとに分類してまとめて掲載するサイト)で広く採用されています。クラシファイド広告サイトがユーザに提供するバリューは、「膨大な件数のクラシファイド広告を、ワンストップで閲覧できる場所を提供する」という極めてシンプルなものです。多くの場合、彼らは取引を促進させようとすらしません。

地域毎に展開される「売ります、買います」サイトであるCraigslistが、クラシファイド広告サイトの最も有名な例です。中古車、賃貸住宅、仕事、PCパーツ、イベント、さらには出会い系まで、あらゆるカテゴリーのクラシファイド広告を取り扱っています。通常、Craigslistへの新しい広告の投稿は無料です(これがユーザー数をクリティカルマスに到達させるための重要なポイント)が、特定のカテゴリ(一部の都市の求人や賃貸住宅のリスト)では、掲載1件ごとに料金を請求します。

他の課金モデルと組み合わせてリスティング料を採用することもあります。Etsyは取引手数料に加えて、商品を出品する際にリスティング料を請求するBtoCプラットフォームの例です。リスティング料は、Etsyで販売される商品の流動性の低さへの対応策であると推測されます。Etsyには膨大な数の商品が出品されます。一部の商品は非常に人気がありますが、ほとんどの商品はおそらく一度も販売されません。取引手数料とリスティング料を併用することで、Etsyは人気商品とそれほど人気のない商品の双方から収益を得ることができます。

「必要な時だけ利用して商品を販売したい」という出品者が多いプラットフォームには、会費よりもリスティング料が適しています。高価な機械のB2BクラシファイドサイトであるMascusは、リスティング料モデルに向いているプラットフォームの好例です。

リスティング料モデルの課題は、「料金を支払っても必ずしも成果が得られる訳ではない」という点です。そのため、プラットフォームを介して取引される金額に対して、非常に小さい金額しか課金できません。リスティング料のみを収益源とするプラットフォームが持続可能な収益を得るには、非常に大量の商品を取り扱う必要があります。

4. リード料

リード料は、リスティング料と取引手数料の中間のような性質を持ちます。顧客はプラットフォームにリクエストを投稿し、出品者はリクエストに入札するためにリード料を支払います。潜在顧客にアプローチする場合にのみ課金されるという点で、出品するだけで課金されるリスティング料よりも優れているといえます。

リード料モデルは、潜在顧客にアプローチした際の価値が高い場合にのみ機能します。そのため、単価の低いCtoCプラットフォームではなく、BtoCまたはBtoB分野で採用されることが多くなります。BtoCやBtoB分野では、顧客を獲得できた場合に複数回の取引や長期にわたる関係の構築が期待できるためです。このモデルの代表例は、配管工からギター教師まで、あらゆる種類の地元の専門サービスのBtoCプラットフォームであるThumbtackです。Thumbtrackの企業価値は、2019年7月時点で約17億ドルと評価されています。

Thumbtackはこれまでリード料モデルで良好な成果を上げてきましたが、課題もあります。出品者は一度顧客と関係を築くと、Thumbtackを使わずに以降の取引を行うようになったのです。中抜きを回避するため、Thumbtackは請求書作成、支払い、およびスケジュール管理ツールの提供を決定しました。プラットフォーム上で成立した取引からより多くの収益を得るために、Thumbtackは取引手数料モデルへの移行も検討していると思われます。

5. フリーミアム

低価格の商品を無料でシェアするマーケットプレイスはどのように収益化すればよいでしょうか?オランダのスタートアップPeerbyは、無料で物を貸し借りできるCtoCプラットフォームを運営しています。原則的に、すべてのユーザーは無料でプラットフォームを利用でき、Peerbyは、

  • 保険(出品者は商品を無料で貸し出すが、商品の破損や盗難に対する損害を補償するための保険料の支払いを利用者に要求できる)
  • 送料(利用者は商品を指定場所まで取りにいく代わりに、送料を支払うことで配送してもらうことができる)

という2つのプレミアムサービスにより収益化しています。

フリーミアムモデルでは、無料のコアプロダクトによりユーザーを夢中にさせた後、有料のプレミアムサービスを提供することで収益化します。このモデルの課題は、これらの有料サービスが多くのユーザーにとって十分な価値を提供する必要があることです。プレミアムサービスに関心があるユーザーが1%のみで、他の全員が無料でプラットフォームを使用している場合、プラットフォームを長期にわたり運営するにはおそらく十分ではありません。多くのユーザがお金を支払ってでも利用したくなるようなサービスを考え出すのは非常に難しいのです。そのため、多くのプラットフォームではプレミアムサービスを、フリーミアムモデルではなく「追加の収益源」として使用しています。リスティング料をメインの収益源とするMascusは、追加でプレミアムWebページサービスを顧客に提供しています。Etsyは取引手数料とリスティング料に加え、ダイレクト・チェックアウト、優先リスティング、配送ラベルなどのプレミアムサービスをパワーセラーに提供しており、これらの収益源は近年力強い成長を遂げています。

6. 有料掲載オプションと広告

有料掲載オプションは、有料で出品者の商品を上位、または目立つ位置に掲載する手法です。このモデルを使用する場合、プラットフォームへの出品は原則として無料にします。出品者は自身の商品をトップページ、または特定のカテゴリーの上位に掲載するために料金を支払うことができます。有料掲載オプションを採用している代表的な例は、イギリスで最も人気のあるクラシファイド広告サイトであるGumtreeです。Etsyでも、プレミアムサービスの1つとして有料掲載オプションを提供しています。

有料掲載オプションは、純粋な広告(ユーザーにGoogle AdSenseなどの広告を表示)に比較的近く、どちらもクラシファイド広告サイトで人気があります。他には不動産取引のプラットフォーム(Zillowなど)、または無料のシェア・プラットフォーム(Freecycleなど)でもよく見られます。

これらのモデルの課題は、意味のある額の収益を生み出すためにかなりの量のユーザーを必要とすることです。 ページビューやユーザー数に依拠した課金モデルは、取引手数料モデルと比較して1ユーザー当たりの収益が著しく低くなります。また、ユーザーエクスペリエンスの観点からすると、広告はほとんどの場合邪魔であり、ユーザーの満足度を低下させます。ユーザーに可能な限り最高のエクスペリエンスを提供したい場合、この課金モデルは最適な選択肢ではありません。

広告ベースの課金モデルは、

  • 運営するプラットフォームが非常にニッチなテーマに特化している
  • そのテーマに関連した商品・サービスを販売したい企業が存在する

という場合にうまく機能します。たとえば、フィンランドの中古ウェディングドレスのマーケットプレイスであるHäätoriでは、個人が無料でサイトを使用できます。彼らは、結婚式のプランナー、写真家、その他の結婚式関連サービスの広告を掲載することで収益を得ています。これらの広告は、プラットフォームのユーザーにとって非常に関連性があるため、煩わしく思われることはありません。

ベストな組み合わせを探そう

モダンなプラットフォームでは、様々な課金モデルを採用しています。ほとんどの場合、「トランザクションを所有(代金決済をプラットフォーム内で完結させる)」し、プラットフォーム上でで行われたすべての取引から手数料を徴収する「取引手数料」が最良の選択肢となります。

ただし、取引手数料モデルが機能しないケースでは、他の選択肢を見つける必要があります。最初は1つの課金モデルだけを使用しましょう。一度に複数のモデルを採用すると、各モデルの効果を検証することが困難になります。プラットフォームの成長に応じて複数の課金モデルの採用をすすめ、収益を最大化するベストな組み合わせを探しましょう。