マーケットプレイスビジネスを始める前に知っておくべきこと

この記事は、Sharetribeが運営するMarketplace Academyに掲載された “How to come up with a great marketplace idea“(著者 : Cristóbal Gracia)を翻訳のうえ、加筆修正したものです。

マーケットプレイス型プラットフォームの人気が高まっています。 Airbnb、Etsy、Fiverrなどの成功は、このビジネスモデルが非常にスケーラブルであり、あらゆる分野のビジネスに適用できることを証明しました。 ベンチャーキャピタルのトップ企業の1つであるアンドリーセン・ホロウィッツは2015年の記事で次のように述べています。「This is just the beginning (これはまだほんの始まりに過ぎない)」。

今後数年間で、マーケットプレイス型プラットフォームの構築と運営において大きなイノベーションが起きるでしょう。今はプラットフォームビジネスをスタートするには最高のタイミングと言えます。

しかし、テクノロジーが充分に成熟し、適切なタイミングで参入したとしても、プラットフォームを成功させるのは容易ではありません。私たちの一連の記事では、プラットフォームを成功させるためのポイントについてお伝えします。

最初にお伝えしたいのは、「マーケットプレイス型プラットフォームを立ち上げて、成功させるための近道はない」ということです。ベストプラクティスを学び、しっかりと戦略を立てることは当然として、コミュニティを成長・繁栄させるには多くのハードワークが必要となります。
本記事では、成功するマーケットプレイスを構築するためのポイントについて説明します。

1. マーケットプレイスビジネスが人気の理由

Airbnbを初めて知ったとき、私は衝撃を受けました。デザインと使いやすさは素晴らしく、誰かにAirbnbを紹介すると、決まって彼らも夢中になりました。彼らの多くは、次の旅行のホストをすぐに探し始めました。 また、旅行から戻った後に、友人や同僚にAirbnbを勧めました。

Consumo Colaborativoを通じて私に連絡してくる多くの起業家は、「XX版Airbnb」を立ち上げるというアイデアを持ち込んできます。Airbnbとコラボレーティブ・エコノミーの成功が一般に見過ごせないものである以上、それはごく普通のことです。この図はそれを非常によく示しています

2015年12月の時点で、コラボレーティブ・エコノミー関連プロジェクトの資金調達額は、最も成功したソーシャルネットワーク(Facebook、Twitter、LinkedIn、YouTubeを含む)の5倍近くになり、その差は年々広がりつつあります。ソーシャルメディアが私たちの社会に与えた影響を考えると、コラボレーティブ・エコノミーが社会に与えるであろう影響の大きさも想像できます。

PwCは2015年に発表したレポートにおいて、コラボレーティブ・エコノミーの市場規模は約150億ドルであり、2025年までに3,350億ドルに成長すると予想しています。

マーケットプレイスビジネスの規模が非常に大きい一番の理由は、自身で在庫を用意する必要がないという点です。Airbnbはホテルの部屋を所有していませんが、短期間の宿泊施設を提供している最大の企業です。多額の資金を費やして在庫を抱えることなく、巨大なビジネスを構築できるというのは非常に魅力的です。

10年前、シェアまたはシェアリングエコノミーの概念は存在しませんでした。2009年後半にプラットフォームの構築を検討し始めたとき、最も有名なオンライン・マーケットプレイスはEbay、Craigslist、Couchsurfingでした。現在では、数千の起業家が複数の異なるセクターで次世代のマーケットプレイス型プラットフォームを作り出しています。

2. マーケットプレイスを成功させるのは簡単ではない

他人の部屋に宿泊する、というAirbnbのアイデアを人々に理解してもらうのは容易ではありませんでした。AirbnbのCEO、ブライアン・チェスキーの言葉がその大変さを物語っています。

あらゆる投資家に会ったけど、誰もAirbnbに投資してくれなかった。そこで、自分たちで資金作りを始めたんだ。コレクションアイテムになるような朝食用シリアルを売るとか、いろんなクレイジーな方法でね。Aibnbのホストになってくれる人達の物件を1件ずつまわり、写真を撮り、リビングルームで寝泊まりもした。そして、1軒ずつ、ブロックずつ、徐々にコミュニティが出来上がっていったんだ。

マーケットプレイス型プラットフォームを成功させるには、多くの作業が必要です。 アイデアを思いつき、ウェブサイトを立ち上げることは、ほんの始まりに過ぎません。自身で在庫を用意する必要はありませんが、

  • 顧客がいないマーケットプレイス上で、商品を売ってくれる売り手をどうやって見つけるのか?
  • 商品数が充分にないマーケットプレイス上で、商品を買ってくれる買い手をどうやって見つけるのか?

という、いわゆる「ニワトリとタマゴ問題」を解決する必要があります。この問題を克服する方法については、別の記事でご紹介します。

また、あなたのアイデアが受け入れられるには、人々にこれまでとは異なるマインドセットを要求するかもしれません。Airbnbはまさにそういう例でした。

Airbnbが登場するまでは、ほとんどの人は見知らぬ人の家に泊まることや、赤の他人に自分の部屋を貸し出すことなんて考えもしませんでした。Airbnbは膨大な労力を費やして、宿泊先を見つけるための圧倒的に便利なソリューションを提供することにより、顧客のマインドセットを変えることに成功しました。マーケットプレイスが一晩で成功することはめったにありません。そのほとんどは、クリティカルマスに到達するために忍耐が必要です。

3. 何を成し遂げたいのか?

マーケットプレイス型プラットフォームの構築に着手する前に、2W1H、つまり「Why」「What」「How」について考えてみましょう。

Why(なぜ)

あなたはなぜマーケットプレイスを作ろうとしているのでしょう?

  • 会社勤めにうんざりしたから?
  • 世界を変えたい?
  • 大金持ちになりたいから?
  • 割の良いサイドビジネスとして?

それが何であれ、あなたの「本当の目的」をはっきりさせることは非常に重要です。目的に応じて、あなたがマーケットプレイスビジネスにおいてとるべき戦略は大きく異なります。自分と数名のスタッフで運営するスモールビジネスを作り上げたいのであれば、ニッチなマーケットにフォーカスすることが理にかなっています。ベンチャーキャプタルなどから資金調達したいのであれば、より大きなマーケットを対象とする必要があります。

What(何を)

次のステップは、プラットフォームで何を扱うのかを考えます。あなたの情熱を注ぐことができる、特定の分野がありますか?それとも利益率の高いニッチマーケットであれば、プラットフォームで扱う分野に特にこだわりはありませんか?このトピックは別の記事で詳しくとりあげますが、プラットフォームを成功させるには多くの時間と労力が必要です。あなた自身が夢中になれる分野のほうが、成功する確率が高くなります。

How(どうやって)

最後に、どうやってマーケットプレイス型プラットフォームを構築するかを理解する必要があります。

  • コーディングはできますか?
  • 開発者を雇うお金はありますか?
  • 起業や、スタートアップ企業で働いた経験はありますか?
  • 共同創業者はいますか?それとも一人で起業しますか?
  • 参入する分野で働いた経験や専門知識はありますか?

これらの質問に答えることは、あなたのアイデアを形にするために何が必要なのかを明確化するのに役立ちます。自身の経験や専門知識、これまで受けてきた教育、初期の見込み客、資金源など、あなたの強みと弱みを把握したうえでビジネスに取り組むことをおすすめします。

成功したスタートアップ企業の多くは、非常に優秀なメンバーがチームとなって立ち上げられました。ただし、あなたがまだ一人だったり、開発スキルを持つメンバーがいなくても心配する必要はありません。そのような制約は、時としてあなたの強みとなる場合もあるのです。

4. できるだけ早くMVPを立ち上げる

マーケットプレイス型プラットフォームの成功において、ウェブサイトやソフトウェアの開発は欠かせません。しかし、開発できれば成功するというわけではありません。起業家がすべてのリソースを投入してプラットフォームを構築したものの、誰も興味を示さずにサービス終了に追い込まれる事例は後を絶ちません。このような「技術的にはよくできているが、ユーザーを引きつけることのできないプラットフォーム」を、私は「砂漠に建てたプラットフォーム」と呼んでいます。

プロジェクトの初期段階では、できるだけ早くMinimum Viable Product(MVP)を開発して立ち上げることを目標としましょう。「ユーザーが抱えているメインの問題を解決するための必要最小限の機能を持つサービス(MVP)」を開発し、できるだけ早くユーザーに提供することで、あなたは圧倒的なスピードで学習することができます。MVPは、大きなリスクを冒して多くの資本を投資することなく、自らのアイデアを検証するのに役立ちます。

MVPの構築方法は別の記事で詳しく説明しますが、大事なのは「最初から完璧を目指さない」ことです。以前、「すべての機能を備え、世界中で機能し、あらゆる人が利用できるAirbnbのようなプラットフォーム」を最初から作りたいという起業家に会ったことがあります。グローバルなビジョンを持つことは大事ですが、成功したプラットフォームはすべて、MVPを作ることからスタートしていることに注目すべきです。

たとえば、AirbnbはWordPressで構築されたシンプルなウェブサイトとしてスタートしました。現在利用できる機能のほとんどは、Airbnbの基本的なコンセプトがユーザーに受け入れられることを確認できた後に構築されました。最初から数百万人のユーザーに向けてプラットフォームを作る必要はありません。まずは、あなたのコンセプトに心から賛同してくれる、熱狂的なユーザーを10人見つけることに集中しましょう。

起業家が犯しがちな間違いの一つは、サービス開始前にプラットフォームの開発に時間と資金を費やしすぎることです。その代わりに、必要最小限の機能で小さくスタートする必要があります。 Sharetribemekumaのようなマーケットプレイス型プラットフォーム構築ソリューションは、アイデアが受け入れられるかを検証するために、できるだけ早くサービスを世に出したい起業家にとって非常に役に立ちます。

5. プラットフォームの準備が整う前にユーザーを巻き込む

この記事で最後に強調したいことは、プロジェクトに取り組み始めたらすぐにユーザーと対話することの重要性です。私の経験から言うと、ユーザーとの対話を最重要視しないことは、マーケットプレイスを構築する際に最もよくある落とし穴の一つです。AirbnbのChristopher Lukezic氏は、インタビューでこのことについて説明しています。シェアリングエコノミーの起業家にどんなアドバイスをするかと聞かれたとき、彼の答えは次のようなものでした。

私が[Airbnbの創業者たちから]学んだことは、早い段階でユーザーの声に耳を傾け、あらゆる段階でユーザーをプロセスに参加させることです。ただ会うだけではなく、彼らを巻き込み、会話をし、彼らの問題やニーズを見つけ出すために彼らに働きかけるのです。多くの場合、人々は自分の問題を解決するために会社を設立しますが、時間が経つにつれて、成功するためには、より多くのエンドユーザーのために製品を作らなければならないことに気づきます。

真に成功している企業は、私たちの生活に変革をもたらすソリューションを提示することで、より大きな問題を解決するために、その道のりのあらゆる時点でユーザーを巻き込むことを心がけています。

ユーザーとの対話には多くの時間がかかりますが、それはあなたが費やす必要のある時間です。あなたが構築しようとしているプラットフォームはパズルの重要な部分ですが、すべてではありません。あなたのビジネスを決定づけるのは、ユーザーと彼らのエンゲージメントのレベルです。

真に成功しているプラットフォームは、あらゆるポイントでユーザーを巻き込むように心がけています。

マーケットプレイスの構築を始めよう

この記事では、マーケットプレイス型プラットフォームを始める前に知っておくべきことを取り上げました。このビジネスのメリット、課題、そして陥りがちな落とし穴などポイントは多岐にわたりますが、最も重要なのは次の質問に答えられるようになることです。
自分が本当に作り上げたいのはどのようなビジネスなのか?

準備はよいですか?さあ、マーケットプレイスを作り始めましょう!